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見積もり依頼や価格交渉の負担が激減薬剤師を臨床現場に送り出す

医薬品共同購買(GPO)の導入事例

199床を有する医療法人鎗田病院では、この10年あまり利益確保が課題となっており、とくに約1,000種類を扱う医薬品の見積もり依頼や価格交渉が現場の大きな負担でした。この課題を解決するため、2022年に総合メディカルの医薬品共同購買サービス「GPO」を導入。その結果、発注業務の負担が激減し、帳票が一本化されたことで在庫管理が容易に。負担軽減により薬剤師は本来の臨床業務に専念できるようになりました。手厚い服薬指導が実現するなど「断らないかかりつけ」病院づくりが加速しています。

医療法人鎗田(やりた)病院
医薬品共同購買(GPO)の導入事例

所在地:千葉県市原市五井899
URL:https://www.yarita-hosp.or.jp/
病床数:186床(一般146床、療養40床)
診療科目:ペインクリニック外科 リウマチ科 リハビリテーション科 乳腺外科 代謝内科 内科 内視鏡内科 内視鏡外科 呼吸器内科 呼吸器外科 外科 小児科 形成外科 循環器内科 放射線科 救急科 整形外科 気管食道外科 泌尿器科 消化器内科 消化器外科 病理診断科 皮膚科 神経内科 精神科 糖尿病内科 肛門外科 腫瘍内科 腫瘍外科 血液内科 頭頸部外科 麻酔科

目次

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今回のインタービュイー

医療法人鎗田病院

理事・事務長 吉川 和宏 様
薬剤科長 河西 良 様

医業収益は順調だったものの支出の管理は未着手だった

鎗田病院の前身である鎗田内科医院は1947年、千葉県市原駐屯地の軍医を務めていた鎗田衝平・初代院長が開業した。終戦とともにこの地を離れることも考えていたが、住民から強い要望を受けて翻意し、この地に根を下ろした。そうしたいきさつもあって、当初から「地域密着」を掲げ、現在もそれは貫かれている。87年に2代目院長に就任した鎗田努院長が掲げたのが、「断らないかかりつけ」病院だ。同院の所在する千葉県の市原医療圏は帝京大学ちば総合医療センター、千葉ろうさい病院、千葉県循環器病センターなど高度急性期の医療機関が揃う一方で、二次救急医療や急性期後の回復期医療などの地域内での受け皿は中小規模病院が機能分化を進めて担っている。同院もその一つで、特に消化器・呼吸器疾患の診療に力を入れている。抗がん剤治療も進めており、「地域で受けるがん治療」の重要な基盤になっている。

そんな同院が経営改善に着手したのはこの10年あまりのこと。医業収益は順調に推移していたものの、支出面については十分な策を講じておらず、利益の確保が課題になっていた。2年前に同院に着任した吉川和宏事務長がレセプト情報を確認した際、まず目についたのが、「投薬」「注射」の医業収益の突出した伸びだった。当然、医薬品費もこれに応じて増えていることが予想されたが、その実態の把握はもちろん、対策も講じられていなかった。

5年前に薬剤科長に就任していた河西良科長は「前任の事務長からも漠然と『薬剤費の支出をどうにかしなければいけないです』と相談を受けていましたが、そもそも人数が限られているうえ、実態を把握しようにもそのためのシステムもなかったので、『手つかず』というのが正直なところでした」と振り返る。

医薬品の発注方法は現場任せで、相見積もりを取ることも、価格交渉を持ち掛けることもなかった。同院では錠剤だけでも1,000種類近くの医薬品を扱っており、相見積もりを取るにも、どこの卸業者に注文するのかを頭に入れるのは至難の業だ。「ーカ所に集約化できれば、それに越したことはありません」(河西科長)

見積もり依頼を出す卸業者は最小限にとどめ、特定の卸業者に委ねることのメリットもあった。特に土日祝日に緊急で必要な医薬品が出た場合、すぐに対応してくれる業者もあるからだ。当然、そこでは見積りを取ったり交渉したりという手間は省くことになるが、値段が診療の妨げになるわけにはいかないため「高くても買わなければならない」状況はある。そうしたなかで、「とりあえずそこの卸業者に発注する」という流れが定着していたのだ。

GPOを導入直後に発注業務の負担が激減

このように見積もり依頼~価格交渉の業務のあり方が経営課題の一つとして浮上してきたところで出合ったのが、総合メディカルの医薬品共同購買サービス「GPO」だった。750店舗を超える調剤薬局を展開する同社の強みであるスケールメリットを活かした価格交渉を進め、医薬品調達コストを適正化するとともに、価格交渉や決済など購買管理業務の簡素化も実現するという特徴がある。

2022年に導入したところ、河西科長の目に映った成果は後者だった。まず見積もり作業と発注業務の負担が激減した。総合メディカルに見積依頼システムで依頼を送れば、後日最適な卸と納入価格をメールで回答してくれる。従来は任意に相談しやすい3事業者ほどに電話連絡を入れ、その結果が出るのを待ち、出そろった見積もりを比べて発注先を決めたら、もう一度連絡を入れる。その際にも注文から納入されるまでの期間を確認する必要があった。人手を介するよりも管理が確実なうえ、業務負担も軽減される。「在庫確認業務を担っていた薬剤科の助手さんの負担はかなり減っているはずです」と河西科長は語る。

case_gpo01_02医薬品の発注業務負担は激減した


もちろん、こうした適正在庫が進むことによって従来型のどんぶり勘定の軽減が期待されることは言うまでもない。

そもそも、それまでは医薬品の在庫状況を把握するシステムもなかったが、GPOの導入によって帳票が一元的に出されるようになり、在庫管理が容易になった。

一方で、吉川事務長は「卸業者の迅速な対応力はきわめて重要で、GPOを導入する際もそのことは念押ししました」と語る。質の高い医療を提供することが最優先なのだ。河西科長も「使い分けているというのが実情です」と説明する。いくら見積もり依頼や価格交渉の自動化が進んでいるとはいえ、緊急の注文が皆無になったわけではない。その際は価格の高低にかかわらず取り寄せるため、現場の医療が止まることはない。

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専門スキルを発揮できる職場に薬剤師が続々と参集している

GPOの導入と歩調を合わせるように、薬剤科にも変化が生じている。河西科長が着任した当初、薬剤科のスタッフは5人ほどだったが、現在は12人に膨れ上がった。かつ、それまでは望めなかった中途採用の「即戦力」になる薬剤師の就職希望が増えている。河西科長のもとで離職した薬剤師は結婚退職した1人のみ。その背景には「臨床業務に多く携われる」ことがあると、河西科長は分析する。「薬剤師は発注業務に時間を取られるより、臨床に携わり、医師や看護師と最適な薬物療法に向けた提案をしたいもの。それが叶う職場なのです」

 

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患者さんに対する服薬指導を手厚く行えるようになっている


現在、3病棟にそれぞれ1~2人の薬剤師が配置され、医師や看護師への支援体制を充実させている。「医薬品情報のアップデートは医師だけに委ねるのではなく、薬剤師が適切に情報を収集し、お伝えする必要があります」(河西科長)

地域での服薬指導·管理も視野に入ってきた。訪問服薬指導はもちろん、調剤薬局との交流も始まった。GPOによる薬剤の見積もり~価格交渉業務の負担軽減と区薬品在庫の適正化を基盤の一つとして、「断らないかかりつけ」病院づくりが加速しようとしている。

 


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