事例紹介
リウマチ・整形外科の専門性を活かしつつ、地域包括ケアシステムを提供する地域密着の病院へと進化


松原メイフラワー病院
所在地:兵庫県加東市藤田944番地25
病床数:一般99床
標榜科目:整形外科 外科 内科 リウマチ科 リハビリテーション科
課題
- リウマチ・整形外科専門病院としての専門性を活かしつつ、より地域に根差した医療機関となりたい
- 病床機能を見直し、99床の稼働率を高めて効率化を図りたい
- 診療報酬改定等の制度や社会情勢の変化に適切に対応したい
- 長期的視野で病院の将来像を具体的に描き、職員の意識改革をしたい
解決案
- 救急医療体制を整備して、地域における救急の需要に対応した
- 通所リハビリ・訪問リハビリを開始し、入院から在宅復帰まで切れ目のないケアを提供した
- 病床機能を急性期・地域包括ケアに再編し、患者層に応じた適正な運用に変更した
- データに基づく客観的な分析と改善計画を策定し、職員間で共有・実行した
効果
- 365日、救急への対応体制を確立し、地域に貢献する病院へ進化した
- 介護事業(リハビリ)を導入し、在宅医療との連携が強化された
- 地域包括ケア病床導入時は9床であったが、患者層を常に確認し66床に拡大。地域の患者ニーズに応えることで、病床稼働率が向上した
- 定期的なデータ分析等により、運用が可視化され意思決定が明確になった
- 月1回、全部署で会議を行い、情報を共有することで意識改革が進んだ
リウマチ・整形外科を中心に地域の医療に貢献する病院

右から事務長 丹生様、看護部長 松本様、地域連携室室長 森下様、ソーシャルワーカー 西山様
――はじめに「松原メイフラワー病院」について教えてください。
丹生 様(以下、丹生):
当院は「患者さんの目線に立ち、最適な医療と情報を提供する」という理念のもと、1999年に開設した病院です。当初は、リウマチ性疾患の総合的治療を提供する医療機関としてスタートしましたが、現在ではリウマチ・整形外科の専門的治療に加え、地域包括ケア病床の機能を強化し、地域医療の充実に努めています。

院長 松原 司 医師
特に、2023年7月からは救急告示病院として24時間365日の救急医療体制を整え、地域の救急患者さんの受け入れに注力しています。この体制により、地域の皆様が安心して救急医療を受けられる環境を整えることができました。
また、当院の強みは、MRI、全身用CT、内視鏡、エコー、骨密度測定装置など充実した設備を活かした専門的な医療の提供です。これらの設備を効果的に活用することで、より正確な診断と適切な治療を提供できます。現在の病床構成は、急性期一般入院料が33床、地域包括ケア病床が66床です。この構成により、急性期から回復期まで、患者さんの状態に応じた切れ目のない医療を提供できる体制を確立しています。

松本 様(以下、松本):
当院ではリウマチ性疾患について、開院当時から専門性の高い医療を提供しています。手術方法、リハビリテーション、特リウマチや整形外科の専門性の高い医療を提供しながら、同時に地域に根差した医療機関としての役割も果たしていることです。手術やリハビリテーションといった高度な医療サービスを提供する一方で、地域の患者さんの日常的な健康管理もサポートしています。
森下 様(以下、森下):
地域貢献の面では、近隣の医療機関と密接に連携し、退院時やリハビリなど患者さんの状態に応じて適切な対応を行うことで、地域全体の医療の質向上に努めています。医療と介護の切れ目のないサポートを目指しています。
患者視点で地域に貢献する医療体制の構築を構想

――どうして病院の医療体制を変更しようと考えたのでしょうか?
松本:
私が2019年7月に着任した際、まず病床分析を行い、地域における当院の役割を見直すことから始めました。分析の結果、入院日数が短い、また、在宅復帰率が高いという特徴的なデータを確認しました。この状況と当院の強みを活かしながら、地域包括ケアシステムの一端を担う病院を目指すことを構想した結果、地域包括ケア病床の導入を検討し始めました。
特に意識したのは、当院の整形外科とリウマチ診療の専門性を活かし、地域包括ケアシステムの中でどのような役割を果たせるかという点でした。患者さんの多数が地域にお住まいの方々で、手術後も継続的なケアが必要となるケースが多いことから、急性期から回復期、さらには在宅復帰までを見据えた医療提供体制の構築が必要だと考えました。

森下:
特に重要だったのは、患者さんの状態に応じた適切なサポートでした。在宅復帰を目指す方、施設入所が必要な方、それぞれのケースに応じた最適な対応が必要だと考えています。
丹生:
そこで、多くの実績がある総合メディカルに地域包括ケア病床の導入などについて相談し、「病床の効率化」と「入院患者のケア向上」という2つの目的を意識して取り組みをはじめました。
また、スタッフの負担も考慮して、一度に大きな変更を行うのではなく、実績を確認しながら段階的に進める方針を採りました。
データに基づく具体的な提案と現場に寄り添った支援体制
――総合メディカルの「基本構想&現状分析サービス」を利用していかがでしたか?
松本:
総合メディカルの支援の特徴は、私たちの現場の状況を十分に分析したうえで、無理のない提案をしてもらえたことでした。例えば、外来患者の動向分析から、3ヵ月来院のない方へのアプローチ方法を具体的に提案いただき、実際のアクションリストまで作成してくれました。このような細やかなサポートのおかげで、私たちも一歩一歩着実に進めることができました。
特筆すべきは、提案が机上の空論ではなく、私たちの実情に即した実践的な内容である点です。看護師の配置基準についても、現場の状況を踏まえた具体的なアドバイスがあり、確実に実践につなげられました。

西山 様(以下、西山):
実際の運用では、患者さんの状態に応じて急性期病床と地域包括ケアのいずれに入床するか、ベッドコントロールを適正に行うことが重要です。総合メディカルと毎月開催する会議では、患者さんの状態に応じた適切な病床運用について、収益データを含めた具体的な分析結果を示していただけます。これにより、職員一人ひとりが知識として理解しながら運用できるようになり、より効果的な病床管理が可能になりました。
特に、データの可視化は非常に効果的でした。これまで感覚的に行っていた判断を、客観的な数字に基づいて行えるようになり、より適切な意思決定が可能になりました。また、これらのデータを院内で情報共有し、運営の改善にも活用しています。
医療現場と経営の両面に配慮した実践的なコンサルティングに手応え
――約4年にわたって総合メディカルの「コンサルティング支援」を利用された感想を教えてください。
丹生:
当院のような中小規模病院に対して、規模に合わせた適切な提案と情報共有をしてもらえました。診療報酬改定の際には、当院の運営状況を詳細に分析したうえで、具体的な改善案を提示していただき、参考になりました。

松本:
私たちの行動が変化するところまで、きめ細かくサポートしてもらえたのが非常に良かったです。提案だけでなく、実際の行動計画まで落とし込んでもらえたので、確実に実行できました。実施後のフォローアップもあり、継続的なサポートを受けることで、成果を実感しています。
また、地域包括ケア病床の導入においても、キックオフの準備や調整から医師を含めた体制づくりまで、具体的なアドバイスをいただきました。その後も部署単位での取り組みを提案いただくといった、現場の実情に即した支援を継続してもらっています。
長期的な視野に立った持続可能なサポートが受けられる
――総合メディカルのコンサルティング支援を検討している医療機関の方々にアドバイスをお願いします。

西山:
24時間体制の救急医療により、これまでとは異なる患者層への対応も増えてきています。この変化に合わせた運用方法の確立など、新たな課題についても引き続き相談させていただきたいと考えています。
特に重要なのは、急性期から回復期、そして在宅復帰までの一貫したケアの提供です。救急で搬送された患者さんに対しても、その後の生活を見据えた支援を行っていく必要があります。このような包括的なケアを実現するために、総合メディカルにはさらなるサポートを期待しています。
多様な課題に対応することを考えている医療機関の方々には、外部からの支援を検討してみてはどうかと、お伝えしたいです。
森下:
今回の取り組みで、現場と経営陣の意識をひとつにしたいと考えているなら、まず、体制の見直しからはじめるのが大切だと感じました。
現在、現場では、救急受け入れやリウマチ治療、地域包括ケア病床の運営など、業務が多様化している状況ですので、今後は、これらをバランス良く運営していくことが課題となっています。
特に、救急医療の提供体制については、地域のニーズに応えながら、いかに効率的な運営を行うかが重要です。整形外科を中心とした専門性の高い救急医療を提供できることは当院の強みです。それを持続可能な形で継続するためには、さらなる体制の整備が必要だと考えています。
松本:
今後は、人材の確保・育成・定着が重要な課題となります。病床運営や経営面だけでなく、総合メディカルには人材面でのサポートもお願いできればと考えています。特に、スタッフの育成が重要だと考えています。
また、これから世代交代が進む中で、多くの医療機関で最新の社会動向をあわせた病院運営に悩まれるケースも増えるのではないかと思っています。組織の発展と業務効率化を考えるなら、データ活用について専門的なアドバイスを受けるのがポイントになるのではないでしょうか。
丹生:
実際に体験してみて、長期的な支援を必要とされている医療機関の方々は、コンサルティング支援の利用を検討してみる価値があると思いました。
医療を取り巻く環境は常に変化し、そのたびに新たな課題が生まれます。今後は、個別の部署にさらに踏み込んだ業務改善の支援をお願いして、さらに10年、20年先を見据えた経営戦略についても相談したいと思っています。
特に、人口動態の変化に伴う医療ニーズの変化は、私たちにとって大きな課題です。地域における当院の役割を明確にしながら、将来にわたって持続可能な医療提供体制を構築していく必要がありますので、今後も長期的な視野でのサポートをお願いしたいと考えています。
現状分析(経営分析)
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