コラム
当社独自調査で見えた、入院セット導入後の「リアルな声」と運用の課題とは?
公開日:2025/11/11
近年、患者さんやご家族の負担軽減、職員の業務効率化を目的に入院セットを導入する医療機関が増えています。
弊社のお取引先医療機関を対象にしたアンケート調査では、83.3%が入院セットを導入済みと回答。今後も全国的に導入が進むと思われます。
しかし、弊社の独自調査(Webアンケート調査およびインタビュー調査)では、入院セット導入後も残る、あるいは導入前には想定していなかった「新たな職員の業務負担」が浮き彫りになりました。本記事では、独自調査でわかった課題点を深掘りをし、解決に向けたご提案まで説明します。
目次
調査概要
| 調査目的 | 入院セットに関する課題を把握するため |
| 調査対象 | 入院セットを導入している医療機関 |
| 有効回答数 | 118施設(Webアンケート調査)、10施設(インタビュー調査) |
| 調査期間 | 2025年6月~10月 |
| 調査企画・実施 | 総合メディカル株式会社 |
入院セット導入済み病院が直面する「職員の業務負担」と紙ベース運用の限界
看護師・医事課を悩ませる説明業務と煩雑な手続き
患者さんの利便性向上や職員の業務効率化を目的として入院セットが導入されても、その提供や運用に関連する日々の周辺業務が依然として職員の大きな負担となっています。
特に看護師が患者さんやご家族に対し、入院案内のほか、入院セットや料金形態に関する説明や手続きを代行しているケースが多く、これが業務負担の一因となっています。さらには、「1日利用料」の意味を患者さんや家族へ説明し理解してもらうことが難しいと感じる病院が多いこともわかりました。
入院案内業務を担当している職種

また、意思疎通が難しい高齢の患者さんの場合、ご家族に確認をした上で申し込み手続きや解約手続きを代行せざる得ない状況も看護師の業務負担につながっています。入院案内や入院セットの案内に関して、70%以上の医療機関が紙媒体での運用を行っており、申込書への記入待ちが発生したり、転院や一時帰宅に伴う入院セットの一時停止やキャンセルの連絡ミスが度々起こってしまうという課題も浮き彫りになりました。
費用対効果と価格設定のジレンマ:利用率が伸び悩む本質的な理由
入院セットの利用率は、どのような要因によって高まるのでしょうか。アンケート調査からは、「推奨度合い」と「実際の利用率」の間に、興味深い関係性が見えてきました。
まず、入院セットの利用を患者さんやご家族に対し、どの程度推奨しているかをお尋ねしたところ、「特別な理由がなければ、原則として利用を促している」(53%)と、実に半数以上の医療機関が、原則として利用を促していることがわかりました。
入院セットの申込推奨度

一方、実際の「推定申込率(どのくらいの患者さんが申し込んでいるかの割合)」についてはどうでしょうか。 調査結果では、「70%以上」(70%〜100%)と回答した医療機関が合計で54%と、半数を超える医療機関で利用率が高いことがわかりました。特に「90%〜100%」という非常に高い利用率の医療機関が24%と、最も多い割合を占めています。
入院セットの推定申込率

入院セットの申込推奨度と申込率の関係性
上記の2つの結果から、「入院セットの推奨度」がそのまま「入院セットの申込率」に反映されていることが伺えます。

入院セットの利用をためらう理由は?
アンケート調査では、「1日あたりの価格が高い」「セット内容に対して価格が割高に感じる」といった回答が多数を占めており、入院セット導入後も利用が進まない実態がわかりました。
患者さんが入院セット利用をためらう要因

患者さんにとっては、価格設定のほかに「家族が準備・洗濯をできる環境にある」「普段使い慣れているものを使いたい」という理由から入院セットを利用しないことが多く、これらも利用率が伸び悩んでいる理由とも言えます。
入院セットにオムツが含まれている場合、オムツの交換頻度に関わらず価格が一律であることに対して、公平性についても患者さんからの疑問の声が上がっています。
収益性とサービス継続の課題
入院セット導入のメリットとして業務効率化が挙げられますが、中には「サービス提供による病院への手数料還元がない」ことが最大の課題であると回答した病院もあり、医業外収益の確保を目指す病院においては、サービスの収益性も重要な検討要素の一つとなっています。
「紙ベース」の運用管理が生む非効率と経営リスク
入院セット導入後の運用業務、特に管理・請求・在庫に関する業務が、職員の新たな負担となっています。_
アンケート調査では、入院案内時に活用されている媒体として、「入院案内パンフレット(紙媒体)」が87%、「入院セット案内チラシ(紙媒体)」が72%の医療機関で利用されており、紙ベースの運用が主流ということがわかりました。
この紙ベースでの運用管理によって、患者さんへの入院に関する職員の説明が多くなり、内容も複雑であるため、時間がかかりがちです。紙のパンフレットや資料が更新されず、古かったり、内容がわかりづらかったりする場合、患者さんからの質問が増え、対応に時間がかかる原因となっています。特に入院時の書類(入院誓約書、問診票など)や、入院セットの料金形態(例:オムツの2プランなど)に関する説明に時間が取られ、高齢の患者さんの場合、申込書への記入待ちが発生したり、記入した申込書を手入力、または読み取って電子化し電子カルテと連携する手間も発生していることもわかりました。
入院セットの契約や物品の管理においても、紙ベースの運用により非効率が発生しています。入院セットの申込情報や利用状況に関する情報連携が、受付から看護助手、医事課へと紙で部署間を移動するため、一連の流れが非常に煩雑になっています。紙ベースでの運用には伝達ミスや遅延、書類の紛失が発生するリスクも含まれています。
患者さんが「利用していない日がある」といった意見に対応するため、おむつの使用枚数を職員が手書きのチェック表で日々の利用状況を毎日カウントしているケースや担当看護師が複写式の伝票に利用状況を日々チェックするというアナログな方式で運用されており、このような業務は職員の負担につながっています。
支払いと未収金管理の課題
入院セットの請求業務に関して、紙ベースでの運用について「家族から支払いについての問い合わせに時間を要している」「1カ月前に遡って確認作業するのは負担が大きい」といった声が医事課担当者から聞かれます。
患者の利用料を医療機関が代理で収納している場合、万が一、未収となった場合にその費用を負担せざるを得ないという未収金のリスクを抱えることになります。このリスクを解消するため、次の契約では収納代行を見直したいというニーズも本調査では確認ができました。
導入後に見えてきた「次なる課題」:真の業務効率化とDXへのニーズ
現在の入院セット運用における課題の深掘りを通じて、病院現場では、単なるアウトソーシングを超えた抜本的なDX(デジタルトランスフォーメーション)と、患者ケアの質向上に資するサービス進化が強く求められていることが確認されました。
職員の負担を軽減し、業務効率につなげる「わかりやすい案内」とデジタルコンテンツ活用
紙ベースでの運用に関する課題を解決するため、多くの医療機関が「説明資料の見直し、電子化、アプリ・動画の活用」を改善策として挙げています。具体的には、タブレット端末を用いた契約や、QRコードで視聴可能な説明支援動画の導入により、説明の繰り返しの手間や誤解に基づくトラブルを減少させることへの期待があります。
実際に、ある医療機関では職員が内製した説明動画をiPadで視聴してもらうことで、説明の均質化と効率化を図る取り組みが行われています。
これらの課題から、入院セットの運用において、紙媒体によるプロセスのDX(デジタルトランスフォーメーション)化によって非対面・省力化することが、職員の負担軽減と医療の質向上につながる鍵であると考えられています。
煩雑な物品・在庫管理を効率化するシステム化の理想
本調査では、日々の業務において「入院セットを保管する場所の問題」や「保管先が足りない」といった課題が上がりました。
この保管スペースの不足や管理の課題として、業者から納品される入院セットの物品や特におむつの仕分けや保管には、職員の手間がかかってしまうという課題のほか長期休暇前などに業者が在庫を過剰に納品する傾向があることにより、廊下にまで多くのおむつの箱が積み上げられる状況が発生し、対応に苦慮しているケースがありました。
こうした課題に対し、医療機関は物品の管理負担を軽減するため、適性な在庫管理とDX化へのニーズが高まっていることがわかりました。
ICTを活用した在庫管理の自動化により、物品の補充業務や管理の手間をなくし、職員が患者ケアに集中できる環境を整えることが期待されています。また物品提供に関する情報連携や在庫管理を一貫したシステム化することが理想であるという意見も出ています。
保管スペースの問題は、単なる物理的な制約ではなく、物品の補充・管理に職員が時間を取られるという見えない業務コストにも直結しており、DX化や運用体制の最適化を通じて解決が図られています。
患者QOL向上へ直結するアメニティの「品質と柔軟性」
セット内容の柔軟性や品質への不満(「質が悪い」「不要なものがある」)も、利用率低下の一因として挙げられています。患者のニーズは多様であり、セット商品では限界が出てくるという意見もあります。
カスタマイズとトレンドの追求
改善策としては、「セット内容のカスタマイズや選択の自由度」が求められています。特に入院着については、季節に応じた着衣(半袖など)や、体温調整しやすい脱ぎ着しやすい衣類の提案が不足しているという具体的な要望があります。
また、入院生活の満足度を向上させるアメニティとして、ペットボトル飲料、ブランケット、使い捨てイヤホンなどが人気であり、さらに有料動画・音楽配信サービスや電子書籍などのエンタメ系サービスへのニーズも高いことが明らかになっています。
総合メディカルの「入院らくらくセット」が実現する3つの変革
入院セット導入後に顕在化したこれらの「職員の業務負担」や「次なる課題」に対し、総合メディカルの「入院らくらくセット」は、長年の経験とノウハウに基づき、医療現場のニーズに合致した革新的なソリューションを提供します。
【変革1】事務作業の「完全分離」と手続きのシステム化による職員負担の極小化

総合メディカルの「入院らくらくセット」は、申込みなどの手続きをシステム化することで、職員の負担を大幅に軽減します。
看護師の専門業務集中を支援
煩雑な申込手続き、請求管理業務、在庫管理やリスクコントロールといった周辺業務をシステム化。これにより、看護師をはじめとする現場職員は、金銭に関わる説明や代行業務から解放され、本来の業務である医療に集中できる環境が整います。
総合メディカルでは、定期的な担当社員の訪問や、場合によってはスタッフの常駐化といった充実したサポート体制を整え、患者さんやご家族への対応業務をお任せいただけます。
リスク管理の「ほぼゼロ」化と支払い管理
入院セットの運用を外部に委託することで、申込みや請求への対応、さらには在庫管理や在庫切れなどのリスク管理といった負担を「ほぼゼロ」にすることが可能となります。
また、入院セット導入時に多くの病院が課題とする、TV料やWi-Fi、冷蔵庫などの患者個人が選択し利用するサービスの申込から支払いまでも合わせて一元管理することができます。
【変革2】病院特性に合わせた「オーダーメイド」による利用率と患者満足度の最大化

地域・病院特性に応じた柔軟なカスタマイズ
病院や施設の要望に応じたオーダーメイドサービスを提供するため、患者さんやご家族は入院時に迷う必要がなく、必要なケア用品を適切に選択できます。代わり映えのしないアイテムを提供するのではなく、常にトレンドを取り入れた内容に更新し、利用者ごとの要望にも応えて、満足度を最大化するよう努めています。
また、グループ内にリネン会社があるため、豊富なオムツ販売の経験からオムツメーカーのご提案を行い、適切な価格そして運用改善が可能です。さらに採用するアイテムにはトレンドを取り入れ、時流に乗り遅れない用品を選択肢としてご用意することもできます。
患者さんやご家族は気分良くご利用いただけるため、満足度の向上が期待できます。
【変革3】収益改善に貢献するトータルソリューションと安定した運営基盤

複合的なサービスの連携
入院セットのみならず売店・コンビニ、病室テレビレンタルなど、他の院内サービスと連携したトータルソリューションを提供することで、病院の本来業務の妨げとなっている障壁を取り払います。例えば、24時間営業の院内コンビニエンスストアで入院セットの受付作業を行うことで、受付スペース確保の課題を解決し、昼夜問わず訪れる入院患者への対応を可能にした事例があります。
これにより、患者さんの満足度向上だけでなく、収益性の改善、最適化についても強力に支援することが可能です。
課題解決の事例と「入院らくらくセット」導入へのステップ
他院での成功事例:業務一元化と利便性向上への貢献
成功事例:慢性期病院「既存サービスの点検、見直しによって患者満足度向上」
数年前に入院セットを導入するも、これまで見直しがされていなかった病院。現状をヒアリング・分析した結果、利用価格と紙おむつ関連業務の課題が顕在化しました。利用価格の値下げを実現し、利用者満足度が向上。紙おむつも病院に合ったメーカーに見直すことで交換回数の低減を図り、職員の業務負担も軽減することができました。
成功事例:回復期病院「入院セット導入と合わせて、病室テレビの課題もまとめて解決」
入院セット導入により患者が持ち込んでいたアイテムの補充依頼を職員が家族に連絡していた負担から解放されました。また、合わせて日額制としてサービスを一本化した病室テレビ・床頭台も、テレビカードの代理購入や両替対応、現金管理などの課題が一挙に解決できた、職員負担軽減の好事例です。
貴院の次なる経営戦略をサポート:「入院らくらくセット」導入プロセス
貴院が直面している「価格が高い」「手続きが煩雑」「管理業務がアナログ」といった課題を解決し、職員が医療に専念できる環境を整備するため、まずは貴院の現状を詳細にヒアリングさせていただきます。
- 病院様の状況をヒアリング 担当者が貴院へ訪問し、現在の問題点や課題、ご希望内容を伺います。
- 展開シミュレーション作成 ヒアリング内容を基に、事業展開のシミュレーションを作成し、プランの方向性や概要をご説明いたします。
- 具体的なプランをもとに、内容協議 シミュレーションを踏まえ、より具体的なオーダーメイドプランを作成し、内容を協議いたします。
- ご契約・サービス開始準備 既存サービスからの切り替え準備や、新しいシステム導入に向けた連携を、貴院と協力して実施します。患者様のご不便を最小限に抑えるよう対応いたします。
入院セットを導入してから当たり前になっている業務はもしかしたら効率化できるかもしれません。改めて総合メディカルと一緒に最適なプラン・運用を検討してみませんか。総合メディカルは入院らくらくセットをきっかけに、これまで以上に愛される病院づくりに貢献すると同時に、収益性の改善、業務の最適化を強力に支援いたします。
入院らくらくセット
入院患者や職員の「あったら便利」を実現。治療や業務に専念できる「入院らくらくセット」
